Re+member:想起と追憶+仲間をつくる
昨年末解散した維新派最終公演「アマハラ」製作当時の個人の記憶に寄り添いながら、維新派とはなんだったのかをみなさんと共有し、次世代へと継承していく場をつくります。
※申し訳ございませんが、定員を越えるお申し込みをいただき、抽選に入らせていただくため、お申し込みを締め切らせていただきました。
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2016年奈良・平城宮跡で主宰・松本雄吉さん不在の中で『アマハラ』は上演されました。
そして解散にいたるまでに、大きな決断を維新派の皆さんで出してこられました。それは、それぞれが松本さんに「お前ならどうする?」と試された季節であったのだとも思います。ドキュメンテーション/アーカイブという活動を通して私は『アマハラ』の現場に入り、その制作過程を映像や写真として記録に納めました。残念ながら、松本さんがおられた現場というものを直接知ることは、当然のことながら叶いませんでした。よそ者の私には、その不在を維新派の方々と共有することすらもできなかったように思います。ですが同じ立場・思いには届かなくても、維新派の皆さんがどのように感じ、考え、行動してきたのか、それを聞いてみたい、そう思ったことがこの企画の出発点です。
維新派の役者といえば、舞台の上では白塗りで顔を隠し、個を消すような佇まいが印象的です。ですが、最後の舞台となった台湾公演のラストシーン(M10おかえり)では、ひとりひとりの顔がくっきりと見えてきたように感じました。それゆえに今回のトークイベントは、公演の制作過程を追うものとは少し違い、役者個人個人の記憶に寄り添い、温かみのある生きた記録を共有する場となることを目指そうと思っています。
人との出会いもそうですが、一つの言葉、作品との出会いが人生を変えていくように、次の世代にとっても、今の私たちにとっても、維新派が残したもの、それを知ることは、過去から未来、この先の、新しい風景へとつながっていくのではないでしょうか。
記憶の劇場Ⅲ 活動⑦ 菱川裕子